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【新聞掲載】がん探知の電子センサー開発を目指す

 

2022年1月30日

房日新聞にてDOGLABがん探知犬センター「セントシュガージャパン」の
がん発見への電子センサー開発に関する記事が掲載されました。

 

唯一のがん探知犬センター
佐藤悠二さん(74)=館山=

電子センサー開発目指す

館山市の平砂浦海岸沿いから見える犬のマークと水色の建物。味覚でがんを発見する犬を練する国内唯一のがん知犬育成センター「セントシュガージャパン」だ。平成23年に大腸がんを9割以上の割合で判別した研究がイギリスの学誌「GUT」に掲載されたのを皮切りに、子宮頸(けい)がん(令和2年)や乳がん(同3年)など、次々と大学との研究を発表。人の呼気でがんを検知する電子センサー開発も目前に当る。今改めて世界中が注目駅る研究の発端について話を聞いた。

出身は東京都。音楽制作会社を経営していたが、「バブル崩壊」をきっかけに、業界から手を引いた。もともと愛犬家で平成元年、犬と暮らす地を求め、南房総に移り住んだ。
「充電期間でゆっくりすることが目的だった」のが、6種類の犬と生活するうちに、「犬のことで何かやりたいと思うようになった」という。
家の前が海で、水難事故が毎年数件あることから、最初に取り組んだのが、「水難救助犬」。溺れた人がいた場合に、横から回り込んで浮輪をつかませ救助する方法を訓練すると、実際に救助に結び付いた事例もあった。
ある日、近くで釣りをしていた人が溺れて、自衛隊や消防が捜索。翌日になっても見つからなかった現場に居合わせ、「水死体を発見できないか」と思いついた。

このとき、やってきたのがラブラドールレトリバーの「マリーン」だ。
平成27年に息を引き取るまで数々の偉業を遂げたマリーンは、20年に韓国・ソウル大学によってマリーンの細胞からクローンも誕生して世間を驚かせた。水死体の訓練も次々と正確に当てるマリーンには、警察犬の訓練も施した。そのとき、佐藤さんが抱いた疑問が、「犬はどのように犯人を見分けているのか。身に付けたものか汗か、それとも息でも分かるのか」ということだ。「そこで、自らの呼気を袋に包み、岩場に隠す簡単な実験を行った。マリーンはすぐに発見した。次に、キュウリを食べて、袋にキュウリを包んで隠した。呼気をかぐと、マンリーンはすぐにキュウリを持ってきた。これに驚いた佐藤さんはゴボウやニンジンな」ど、5種類の野菜を食べて、別々に野菜を包んで隠した。息をかぐと、5分ほどかけて、全てを探して帰ってきたという。
「犬は、人の中のさまざまなにおいをかぎ分けることができる」と気付いた佐藤さんは、「もし病気ににおいがあれば、探せるのではないか」と仮設を立てた。そして、その矛先が向かったのが、病気の最たる「がん」だった。しかし、がん治療を行う病院に、がん患者の呼気や尿サンプルを提供してもらえないか相続したところ、当時は「非科学的」の一点一張りで100か所以上断られることに。落胆していたところ、知人から、「とある個人病院の院長が、『がんが進行している。患者は、においで分かる』と話していた」ことを聞いた。院長に経緯や目的を詳細に伝えたところ、全面協力してくれることになったという。
度重なる試練の後、「がん探知犬」が誕生。その研究は瞬く間に世界中に広がり、麻薬や爆弾の研究だったにおい研究は、「がん」へと対象が移行することとなった。

がん探知犬の功績は、がんに「におい物質」があると研究者を導いたことだ。物質さえ分かれば、センサーの開発につながる。2021年6月3日、欧州の医学サイト「Bilology」で発表された「乳がん」の研究は、まさに電子センサー開発の予備研究と位置付けられている。
佐藤さんによると、「すでに多くのテック企業が、開発に乗り出している」という。セントシュガージャパンでも、乳がんの他に、肺がん、胃がん、大腸がん、前立腺がん、白血病など5種類の実験が並行して続く。
「がんのマーカー検査(血液検査)などの精度は70%ほど。しかし、今回開発されるセーンサーは、90%を超えると予想されている」と期待は高まる。想定されているのは、呼気を吹きかけて判定するがん検査用の機器。しかし佐藤さんは、もう少し先の展望を描いている。「スマホの受話器にセンサーを設置したい。もしそれが実現すれば、検診ではなく、誰でも最初期でがんが発見できて、死亡率は激減することでしょう。

夢は大きいが、センサーさえ完成すれば、時間の問規かもしれない。今はもう、世界初のがん探知犬となったマリーンも、乳がん専門で訓練されたファロもこの世を去った。しかし、8頭のラブラドルレトリバーと毎日訓練の日々。全国40か所の医療機関と連携して、一般のがんにも受け付けている。「センサーが開発されれば、必ずや、その発祥の地は、ここ館山になるでしょう」と佐藤さん。医学会では、真面目に「ノーベル賞」が嘱望される研究だ。「私が生きている間に、ぜひ完成品を見たいですね」と笑みをこぼした。

煩わしい精密検査の前に

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